れんこんは薄切りにして酢水にさらす。ごま油で唐辛子の輪切りを炒めたところに、れんこんと人参を投入。隠し味に花椒を入れ、炒りごまを振りました。
《そっか、と言った三郎は、これはね、と言って、きんぴらの作り方の説明をはじめた。ごま油で唐辛子の輪切りを炒めて、そこに薄切りにした蓮根を入れて、少ししたら砂糖と、酒と、しょうゆを入れる。簡単だろ。蓮根は切ったら水にさらすんだけど、その水にお酢を入れとくといいんだよ。
へえ、なんで。
そうすっと、しゃきしゃきすんだね。
へえ。あ、しゃきしゃきしてるわ、たしかに。
そうだろー。あと、中国の山椒をちょっと隠し味に入れた。
中国の山椒。
そう。
日本のとは違うんだ。
違うんだよ。花椒(ホワジャオ)っていうの。
へえ。
いい香りがするんだよ。》
滝口悠生『高架線』p.63